我が家のハリネズミが高齢になって体が弱ってきたときに、亡くなったらどうやって弔ってやろうかと考えていました。
燃やして炭にする「火葬」が一般的だと思いますが、それが本当に常識的なのか私は疑問に思っています。
生物は土に還り食物連鎖の中で循環するのが当たり前だと思うので、できれば土に還してあげて別の生物や植物の養分となって循環してもらいたいのです。
しかし、土に埋めると分解が遅いし動物に掘り返される危険もあります。
そこで私は「コンポスト葬」をすることにしました。
ハリネズミがサボテンに生まれ変わりました
最終的にコンポスト葬によって堆肥になったハリネズミは、サボテンに生まれ変わりました。
我が家のハリネズミがサボテンの栄養となり、立派で大きなサボテンに育ててくれるはずです。
コンポスト葬とは
遺体を栄養豊富な土に生まれ変わらせる「堆肥葬(有機還元葬)」と呼ばれるもので、すでにアメリカの一部州では行われていて、人間の死体を自然な形で生分解して堆肥に変え、養分として新しい命へ循環させる葬送方法です。
コンポストは環境に優しい
我が家ではコンポストを運用して生ごみを堆肥化してプランターなどで野菜を育てているので生ごみが出ることはほとんどありません。
コンポストを始めてからごみの量がかなり減ってゴミ袋代の削減になりましたし、生ごみで部屋が臭くなることもありません(ベランダは少し匂うことはありますが)。
私は正直SGDsだのなんだのという環境に関してあまり興味はありませんが、大量の水分を含む生ごみを膨大なエネルギーを使って燃やすのは正直バカバカしいと思います。
日本中の家庭でコンポストを行えば、相当な量の二酸化炭素や燃料の消費を減らすことが出来て無駄な税金が使われなくなるので日本中のご家庭でコンポスト運用してほしいです。
コンポストにもいろいろある
我が家ではプラスチックのバケツでコンポストを運用しています。
他にもダンボールを使ったコンポストやミミズを使ったコンポストもあります。
ダンボールコンポストのほうが通気性が良くていいのですが、フニャフニャになるし隙間から虫が侵入したりして扱いが難しいのでバケツでコンポストで運用しています。
バケツコンポストは通気性が良くないので、定期的に混ぜたり水分の調整などを気にかける必要があります。
コンポストの基本的な考え方
- 栄養源
- 微生物
- 水分
- 空気
- 温度
上記の5つの項目を適切な条件に満たせば堆肥化が進んでいきます。
1.栄養源と2.微生物をどうするかはさまざまなバリエーションがあるので、いろいろと調べて試してみてください。
栄養源として米ぬかを追加したり、油や糖分を追加することで堆肥化が加速します。
微生物はどこにでもいるので、勝手に増えはしますが最初に腐葉土を追加したりするとスムーズに堆肥化させることができます。
ハリネズミをコンポスト葬してみた
最初に注意しておきたいのですが、コンポスト自体は簡単ですが、スムーズに分解するためにはコツが必要です。
やり方を間違えてしまうと大量に虫が湧いたり腐って悪臭を放つこともありますので、もしコンポスト葬を検討するのであれば事前に家の生ごみでコンポストを試し、コンポストのプロになってからにしましょう。
遺体を腐らせてしまったり、虫を沸かせてしまったりすると申し訳ない気持ちになります。
コンポスト葬に必要な道具
- バケツまたは厚手のダンボール
- 100均の洗濯ネット(大)※バケツまたはダンボールが包める大きさ
- スコップ
- 温度計(なくてもよい)
バケツでもダンボールでもかまいませんが判断はお任せします。
100均の洗濯ネットで虫の侵入を防ぎます(最重要)
コンポスト葬に必要な材料
- ご遺体
- ピートモスor腐葉土(微生物の住処)
- 米ぬか(微生物の養分)
- もみ殻くん炭(匂いの防止)
- 食用油(堆肥化のブースト)
- 開封済みのペットの餌(微生物の養分)
- ペットが好きだった果物など(微生物の養分)
上記がベストというわけではありません。
普段の我が家のコンポストはピートモスと米ぬかだけでやってますが、今回はコンポスト葬ということで、匂いの予防にもみ殻くん炭を使うなどいろいろと考えて材料を調節しました。
高カロリーなものは微生物を活発にしますので食用油や砂糖を混ぜてあげると分解速度を速めることができます。
あくまで私のコンポストの配合ですので、コンポストの基材を何にするかはご自身で調べてみてください。
コンポスト基材の配合
ピートモスと米ぬかをベースにして後は適当に混ぜてもらうだけで堆肥化が進んでいきます。
そこまで厳密に配合の割合にこだわる必要はありせん。
今回はピートモス6に対して米ぬかを4、あとはもみ殻くん炭を適当に混ぜ、食用油を回しかけました。
コンポストにご遺体を埋める
基材を混ぜ終わったら、ご遺体を中心に置いて軽く基材をかぶせてあげましょう。
深く埋める必要はありません。
ご遺体に機材をかぶせてあげたら、洗濯ネットで覆いましょう。
コンポストは虫の侵入との戦いでもあります。
1匹でも虫の侵入を許してしまうと恐ろしいことになります。
コンポストの管理
普段、コンポストを管理する場合は、天地を返して空気を入れなおしたりしますが、ご遺体があるので今回は天地返しはせずに、ご遺体の周りだけ軽く混ぜたいと思います。
頻繁に開け閉めしてしまうと虫の侵入を許してしまう可能性が増えますので、コンポスト葬はあまり中身を確認したり混ぜたりしないほうがいいかもしれません。
数日に1度は中身を確認しながら堆肥化の進行具合や、適切な湿り気になっているか確認していきます。
手をかざした時に発酵熱を感じることができたら堆肥化が順調にすすんでいる証拠です。
温度計で中心部を測れば50度近くまで温度が上がっているはずです。
乾いているようならコップ1杯程度の水分を加えたり、分解の速度が鈍化したら米ぬかを追加してあげます。
コンポスト葬の経過
我が家ではいつもバケツを使ったコンポストを運用しています。
ダンボールで行うコンポストのほうが通気性が良く腐敗を防ぎやすいですが、目張りが甘いと虫が沸いたりしますし、時間が経過するとダンボールがふにゃふにゃになって取り回しが悪くて面倒です。
バケツコンポストは通気性が悪い分頻繁に天地返ししないと腐ったりするし気を使わなければなりませんがプラスチック製で堅いので扱いやすいです。
コンポスト葬ではダンボールがいいかも?
コンポスト葬の場合は頻繁に混ぜる必要があるバケツコンポストの場合は遺体を傷つけてしまう可能性があるのでしっかりと密閉できればダンボールのほうが良いかもしれません。
私は慣れているのでバケツでコンポスト葬を行いました。
コンポスト葬1日目
ご遺体を浅く埋めてあげます。
ご遺体を崩さないように気を付けながら数日に1度ご遺体のまわりを混ぜてあげます。
フルーツなどの水分が多いものを入れすぎると腐敗の原因となるので注意しましょう。
コンポスト葬15日目
発酵温度が下がってきたので、袋が空いている余った餌やバナナの皮、米ぬかを追加します。
かなり分解が進んではいますが、ご遺体に触れないように気を付けて混ぜていてもハリネズミの針や毛などが顔を出したりして結構ショックを受けますのでご注意ください。
コンポスト葬1カ月
ハリ以外は骨まで分解されました。
バナナやリンゴなどを後から追加したのでその形が少し残っています。
少しでもご遺体の形が残っていると悲しい気持ちになるので、念のため再度余った餌と米ぬかや植物油等を追加して1カ月ほどコンポストを継続します。
ほぼご遺体の形は無くなっているようでしたので数日に1回の頻度で混ぜてあげて、週一で天地返しなどをします。
バケツコンポストの場合は定期的に天地返しをしないと底が腐敗します。
コンポストの熟成
コンポストを始めてから2カ月ほど経過し、発酵熱が下がってきたので熟成の段階に移行します。
麻袋のようなものに移して熟成させていきます。
完全に乾燥させてしまうと熟成が遅くなるので、週に1回ほどコップ2~3杯ほどの水分を追加してあげます。
1カ月ほど熟成させると栄養が豊富な完熟たい肥となります。
熟成堆肥の完成
我が家のハリネズミが栄養豊富な堆肥になりました。
虫の発生も無く腐敗もせず、完璧な完熟たい肥になりました。
ハリは分解されませんでしたが、中は空洞で柔らかい状態です。
手で触っても刺さって痛いということはありません。
分解されなかった針も長い時間をかけて朽ちていくと思います。
サボテンを植える
完熟たい肥をそのまま使うと栄養が豊富すぎて草花が枯れてしまいますので、土に3割ほど混ぜて使います。
サボテン用の土にするので赤玉土4、鹿沼土3、ハリネズミ堆肥3の割合で混ぜてあげます。
あくまでサボテン用の配合にしましたが、もしお花などを育てる場合はまた異なる配合になると思いますのでご自身でお調べください。
コンポスト葬で虫が沸いたり腐敗したらどうすればいい?
コンポストにもし虫が湧いたり腐敗したりしても対応策はあります。
コンポストに虫が湧いた場合
- 黒いビニール袋に移し、直射日光の当たるアスファルトに置いて数日間蒸す。
- ビニール袋に移し、熱湯を入れて袋を閉じて1時間ほど蒸す。
虫が発生した場合は上記の方法で対策が可能です。
ご遺体の分解が進んでいない場合は、虫が発生していたとしても分解されるまで待ったほうがいいかもしれません。
コンポストが腐敗した場合
全部が腐敗してしまったら、私もどうしていいかわかりませんが、底の一部だけが腐敗した程度でしたら一度天地帰しをして混ぜてあげてから、米ぬかなどの栄養分を追加し再分解を促せばリカバリーできると思います。
一度広げて天日干しをして乾燥させてもいいかもしれません。
コンポスト葬のススメ
亡くなったペットの弔い方は人それぞれです。
日本では当たり前に行っている火葬はイスラム教ではダブー視されていますし、チベットではご遺体を鳥に処理させる鳥葬(ちょうそう)などもあります。
私としてはこの世にせっかく生を受けたのであれば、自然のサイクルの中でまた生き続けてほしいと思いました。
少し手間はかかりますが、ペットの死と向き合い自然へと還すコンポスト葬を検討してみてはいかがでしょうか。
コメント
昨年秋から生ゴミのコンポストを始めました。匂いがほとんどなく、毎日、生ゴミを投入し、混ぜ込むのが、習慣に。米ぬかを混ぜるような感じ(したことは無いのですが)で、愛おしささえ感じたり。
私は、コンポストのバッグを買いました。大変優れもので、ズボラな私にも管理?できます。
ここまで、まとめあげた記事に感動しました。大好きなハリネズミさんを土に帰してあげるまでには、様々な感情がわきあがったことと思います。
大変参考になりました。